子供が突然の首の痛みを訴え、病院を受診した際、医師に的確な診断をしてもらうためには、保護者が状況を正確に伝えることが非常に重要です。診察時間を有効に使うために、事前に伝えるべきポイントを整理しておきましょう。まず、医師が最も知りたいのは、「いつから、どのようにして痛くなったか」という症状の経緯です。「昨日の朝、起きた時から首が傾いたままになっています」「2日前に公園ででんぐり返しをしてから、首を痛がるようになりました」「3日前に風邪を引いて、熱が下がった後から首を動かさなくなりました」といったように、具体的な時間経過や、きっかけとなった可能性のある出来事を伝えましょう。次に、「痛みの様子と、首以外の症状の有無」です。「どの方向を向くと痛がるか」「安静にしていても痛いのか」「首のどのあたりを痛がっているか」「熱はあるか、今はなくても数日前はあったか」「咳や鼻水といった風邪症状はあるか」「手足のしびれや、歩き方の異常はないか」など、観察して気づいたことを、できるだけ詳しく伝えてください。これらの情報は、医師が「環軸関節回旋位固定」なのか、あるいは他の病気なのかを鑑別する上で、非常に重要な手がかりとなります。病院では、これらの問診に続いて、医師による「診察」が行われます。子供の首がどのくらい動くか(可動域)、どこを押すと痛むか、神経に異常がないか(手足の感覚や力の入り具合をチェック)などを、慎重に評価します。そして、診断を確定させるために「画像検査」が行われます。最も基本となるのが「レントゲン(X線)検査」です。首を正面、側面、そして口を開けた状態など、いくつかの方向から撮影し、首の骨(頸椎)の位置関係に異常がないか、骨折や脱臼がないかを確認します。環軸関節回旋位固定が疑われる場合は、このレントゲン検査で、一番目と二番目の頸椎の関節がずれている様子が捉えられます。レントゲンだけでは診断が難しい場合や、神経症状があるなど、より深刻な病気が疑われる場合には、骨の状態をさらに詳しく見ることができる「CT検査」や、神経(脊髄)の状態を評価できる「MRI検査」が追加で行われることもあります。保護者からの正確な情報提供と、これらの専門的な検査を組み合わせることで、初めて的確な診断と、適切な治療に繋がるのです。
子供の首の痛み。病院で伝えるべきポイントと検査の流れ