高熱の後に発疹が出た場合、その多くは突発性発疹ですが、中には似たような症状を示す、他の注意すべき病気の可能性もゼロではありません。特に、保育園への登園を再開する前には、本当に突発性発疹で間違いないか、他の感染症ではないかという点を、念のため確認しておくことが大切です。突発性発疹と症状が似ていて、鑑別が必要となる代表的な病気に「麻疹(はしか)」があります。麻疹も、高熱と発疹を主症状としますが、その経過は突発性発疹とは大きく異なります。麻疹の場合、高熱と共に、咳、鼻水、目やにといった、風邪のような症状(カタル症状)が強く現れるのが特徴です。そして、熱が一旦少し下がりかけた頃に、口の中に「コプリック斑」という、白い粘膜疹が現れます。その後、再び高熱になると同時に、耳の後ろあたりから発疹が出始め、それが顔、体、手足へと広がっていきます。発疹は、突発性発疹の淡いピンク色のものとは異なり、赤く、次第に融合して大きな斑点状になるのが特徴です。麻疹は非常に感染力が強く、重篤な合併症を引き起こすこともあるため、学校保健安全法で厳格な出席停止期間が定められています。もし、高熱と発疹に加えて、ひどい咳や鼻水、目やにがある場合は、麻疹の可能性も考慮し、必ず医療機関を受診し、診断を確定させる必要があります。また、「風疹(三日ばしか)」も、発熱と発疹を伴いますが、熱は比較的軽度であることが多く、発熱と同時に発疹が現れるのが特徴です。耳の後ろのリンパ節の腫れもよく見られます。その他にも、アデノウイルスやエンテロウイルスなど、様々なウイルスが発熱と発疹を引き起こすことがあります。薬によるアレルギー反応(薬疹)で、発熱と発疹が出ることもあります。これらの病気は、それぞれ感染力や対処法、登園の基準が異なります。最終的な診断は、医師でなければ下せません。「熱が下がった後に発疹が出たから、きっと突発性発疹だろう」と自己判断する前に、一度小児科医の診察を受け、「他の感染症の可能性はなく、集団生活に戻って問題ない」という専門家のお墨付きをもらっておくことが、子供自身にとっても、保育園の他のお友達にとっても、最も安全で安心な選択と言えるでしょう。