ヘバーデン結節と診断されたら、整形外科での治療と並行して、自分自身でできるセルフケアを日常生活に取り入れることが、痛みの緩和と症状の進行予防に非常に有効です。日々の少しの工夫と心がけが、つらい症状と上手に向き合っていくための大きな助けとなります。まず、最も大切なセルフケアは「指を休ませること」と「負担を減らすこと」です。痛みが強い時は、指先に力を入れる動作は極力避けましょう。例えば、ペットボトルの蓋が開けにくい時は、オープナーなどの便利グッズを活用する。重いフライパンや鍋は両手で持つ。パソコンのキーボードを強く叩きすぎないように意識する。こうした小さな工夫の積み重ねが、関節への負担を大きく減らします。また、痛む関節を「温める」ことも効果的です。血行が良くなることで、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが和らぎます。お風呂でゆっくりと指を温めたり、温かいお湯の中で指の曲げ伸ばしをしたりするのも良いでしょう。ただし、関節が赤く腫れて熱を持っている「急性期」には、温めるとかえって炎症を悪化させることがあるため、冷たいタオルなどで軽く冷やす方が適している場合もあります。どちらが良いか迷う場合は、医師に相談しましょう。次に、痛みの緩和と関節の保護に役立つのが「テーピング」です。痛む第一関節をぐるりと一周、あるいは関節をまたぐように十字にテーピングを巻くことで、関節の動きが適度に制限され、安定感が増し、痛みが軽減します。伸縮性のあるテーピングテープを使い、きつく締めすぎないように注意しましょう。さらに、近年注目されているのが「食事によるケア」です。ヘバーデン結節と女性ホルモン(エストロゲン)の減少との関連が指摘されており、エストロゲンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を含む食品(納豆、豆腐、豆乳など)を積極的に摂ることが、症状の緩和に繋がる可能性があると言われています。また、エクオールという、大豆イソフラボンから腸内細菌によって作られる成分のサプリメントも、選択肢の一つとして考えられます。これらのセルフケアは、即効性があるものではありません。しかし、根気よく続けることで、つらい痛みと付き合いながらも、自分らしい生活を維持していくための大きな力となるはずです。