整形外科で足底腱膜炎と診断された、あるいはその疑いがある時、病院での治療と並行して、自宅でできるセルフケアを積極的に取り入れることは、痛みの緩和と早期回復に非常に有効です。日々の少しの工夫と努力が、つらいかかとの痛みを和らげる大きな助けとなります。まず、最も重要で基本的なセルフケアが「ストレッチ」です。足底腱膜炎の痛みの背景には、足底腱膜そのものの硬さだけでなく、それに繋がるアキレス腱や、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の硬さが大きく影響しています。ふくらはぎが硬いと、歩行時に足底腱膜が過剰に引っ張られ、負担が増大するのです。そのため、ふくらはぎとアキレス腱をゆっくりと伸ばすストレッチを、毎日、特に朝起きた時や運動後、お風呂上がりに行うことが極めて重要です。壁に手をついて、足を前後に開き、後ろ足のかかとを床につけたまま、ふくらはぎが伸びるのを感じながら30秒ほどキープしましょう。また、足底腱膜そのものを直接伸ばすストレッチも効果的です。椅子に座り、痛い方の足を反対側の膝の上に乗せ、足の指を手で掴んで、ゆっくりと足の甲の方へ反らせます。足の裏がピンと張るのを感じながら、15秒ほど保持するのを数回繰り返します。次に、痛みが強い時には「アイシング(冷却)」が有効です。炎症を起こしている患部を冷やすことで、痛みを鎮める効果があります。凍らせたペットボトルや、タオルで包んだ保冷剤などを、痛むかかとの下に置いて15分ほどコロコロと転がすように冷やすと良いでしょう。ただし、やりすぎは凍傷の原因になるので注意が必要です。一方で、やってはいけないのが、痛みが強い急性期に、痛い部分をゴルフボールなどで強くグリグリとマッサージすることです。炎症を悪化させてしまう可能性があります。マッサージをするなら、痛みが少し落ち着いてから、優しく行うようにしましょう。これらのセルフケアは、即効性があるわけではありません。しかし、毎日根気よく続けることで、足の裏の柔軟性を取り戻し、痛みの起こりにくい足へと変えていくことができるのです。
自宅でできるかかとの痛みを和らげるケア