口内炎と発熱が同時に起こっている時、体はウイルスや細菌と戦うために多くのエネルギーを必要としています。しかし、口の中の激しい痛みによって、食事を摂ること自体が大きな苦痛となり、栄養不足や脱水に陥りやすいというジレンマがあります。このつらい時期を乗り切るためには、痛みを最小限に抑え、少しでも効率よく栄養と水分を補給するための食事の工夫が不可欠です。まず、絶対に避けるべきなのが、「刺激物」です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。酸味の強いもの: オレンジジュースや柑橘類、トマト、酢の物など。口内炎の潰瘍面に直接しみ、激痛を引き起こします。味の濃いもの・塩辛いもの: 醤油やソース、塩気の強いスープなど。これも、傷口に塩を塗るようなもので、痛みを増強させます。香辛料: 唐辛子や胡椒、カレー粉など。言わずもがな、強い刺激となります。熱いもの: 熱いお粥やスープは、口の中の粘膜を刺激し、痛みを悪化させます。必ず人肌程度に冷ましてから与えましょう。硬いもの・パサパサしたもの: せんべいやクッキー、パンの耳、ポテトチップスなど。口の中を傷つけたり、水分を奪ったりします。では、どのような食事が適しているのでしょうか。基本は、「冷たくて、のどごしが良く、柔らかいもの」です。以下に具体的なメニューを挙げます。主食: よく冷ましたおかゆや雑炊、クリームシチュー、そうめんや冷麦(つゆは薄味に)。タンパク質: 卵豆腐、茶碗蒸し、プレーンヨーグルト、牛乳、豆乳。デザート・間食: プリン、ゼリー、バニラアイスクリーム、カスタード、裏ごししたカボチャやジャガイモのポタージュ。果物: バナナや熟した桃など、酸味の少ないものを、潰したりミキサーにかけたりして与える。飲み物: 麦茶、牛乳、野菜ジュース(酸味の少ないもの)、経口補水液。ストローを使うと、口内炎に触れずに飲みやすくなることがあります。食欲がない時は、無理に食べさせる必要はありません。まずは水分補給を最優先し、本人が受け入れやすいものを、少量ずつ、回数を分けて与えることが大切です。栄養バランスは、症状が落ち着いてから考えれば十分。今は、脱水を防ぎ、体を休ませることに専念しましょう。