口内炎と発熱を同時に引き起こす病気の多くは、ウイルス感染症です。そして、これらのウイルスに感染するかどうか、また感染した時に重症化するかどうかは、私たちの「免疫力」に大きく左右されます。つまり、日頃から免疫力を高く保つ生活を心がけることが、口内炎と発熱というつらい症状から身を守るための、最も根本的で効果的な予防策となるのです。免疫力を高めるためには、特別なサプリメントや健康食品に頼るのではなく、日々の地道な生活習慣の積み重ねが何よりも大切です。その基本となるのは、「食事」「睡眠」「運動」という三つの柱です。まず「食事」です。免疫細胞も、私たちの体の一部であり、その働きを維持するためにはバランスの取れた栄養が不可欠です。特に、皮膚や粘膜を健康に保ち、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能を高める「ビタミンA」(緑黄色野菜、レバーなど)や「ビタミンB群」(豚肉、うなぎ、納豆など)、そして免疫細胞の働きを活性化させる「ビタミンC」(果物、野菜)や「ビタミンD」(きのこ類、魚類)は、意識して摂取したい栄養素です。また、腸内環境を整えることも免疫力アップに繋がるため、ヨーグルトや発酵食品を食事に取り入れるのも良いでしょう。次に、「睡眠」です。睡眠中には、免疫細胞を活性化させる物質が分泌され、日中に受けた体のダメージが修復されます。睡眠不足は、免疫力を低下させる最大の敵の一つです。毎日6〜8時間程度の質の良い睡眠を確保するよう心がけ、寝る前のスマートフォンやカフェイン摂取を避けるなど、安眠できる環境を整えましょう。そして、「運動」です。ウォーキングやジョギングなどの適度な運動は、血行を促進し、体温を上げることで、免疫細胞を体の隅々まで行き渡らせ、その働きを活発にします。ただし、過度な運動はかえって体にストレスを与え、免疫力を低下させることもあるため、無理のない範囲で、楽しんで続けられる運動を見つけることが大切です。これらの三つの柱に加えて、ストレスを上手に発散させることや、体を冷やさないようにすることも重要です。日々の小さな心がけが、ウイルスに負けない強い体を作り、口内炎や発熱といった不快な症状を遠ざけてくれるのです。