慢性的なかかとの痛みに悩まされている場合、その原因は、あなたが毎日履いている「靴」にあるのかもしれません。靴は、私たちの足を保護し、歩行をサポートする重要な役割を担っていますが、自分の足に合っていなかったり、機能性が低かったりする靴を履き続けることは、足底腱膜炎やアキレス腱付着部炎といった、かかとの痛みを引き起こす大きなリスクファクターとなります。まず、最も問題となるのが「クッション性の不足」です。アスファルトなどの硬い地面を歩く際、私たちの足には、体重の何倍もの衝撃がかかります。靴のクッション性が低いと、この衝撃が直接かかとに伝わり、足底腱膜や骨にダメージを与えてしまいます。靴底がペラペラに薄いフラットシューズや、長年履き続けてクッションがへたってしまったスニーカーなどは、注意が必要です。次に、「アーチサポートの欠如」です。足の裏の土踏まず(アーチ)は、衝撃を吸収する上で重要な役割を果たします。しかし、扁平足の人のようにアーチが低い場合、あるいは靴に適切なアーチサポート機能がない場合、足底腱膜が常に引き伸ばされた状態になり、過剰な負担がかかってしまいます。逆に、ハイアーチの人は、足底腱膜の張力が強すぎるため、アーチに柔軟にフィットしない硬い靴は、症状を悪化させる原因となります。また、「かかとのフィット感」も重要です。かかと部分が緩すぎると、歩くたびに靴の中で足が動いてしまい、不必要な摩擦や負担が生じます。逆に、硬すぎるヒールカウンターは、アキレス腱の付着部を圧迫し、アキレス腱付着部炎を引き起こすことがあります。特に、パンプスや革靴などを長時間履く場合は注意が必要です。では、どのような靴を選べば良いのでしょうか。ポイントは、①かかと部分に十分な厚みと衝撃吸収性があること、②自分の土踏まずの形に合った、適度なアーチサポートがあること、③かかとをしっかりと包み込み、安定させてくれるヒールカウンターがあること、④つま先にゆとりがあり、指が自由に動かせること、です。靴を購入する際は、必ず両足で試し履きをし、少し歩いてみてフィット感を確かめましょう。たかが靴、されど靴。かかとの痛みを改善・予防するためには、日々の足元を見直すことが、非常に効果的な第一歩となるのです。
そのかかとの痛み、靴が原因かも?正しい靴選びの重要性