一般の医療機関と労災指定病院で異なる手続きの手間
労働災害に遭った際、どの医療機関を受診しても同じだと思っている方がいたら、それは大きな間違いです。一般の医療機関と労災指定病院では、患者側が行うべき事務手続きの手間が天と地ほど異なります。労災指定病院を受診した場合、あなたがすべきことは、会社に「様式第五号(あるいは第十六号の三)」という書類を作成してもらい、それを病院の窓口に出すだけです。これだけで、窓口での支払いは一切なく、病院が直接国へ治療費を請求してくれます。あなたは怪我の治療にだけ専念していれば良いのです。ところが、指定を受けていない一般の医療機関を受診すると、まずは「様式第七号(あるいは第十六号の五)」という書類を用意し、自分で医療費の十割分を一旦全額支払わなければなりません。その後、その領収書と書類を自分で労働基準監督署へ持参するか郵送し、審査を経てから数週間、長ければ数ヶ月後にようやく自分の口座にお金が振り込まれます。この一連の作業は、怪我で不自由な生活を送っている人にとって非常に過酷な作業です。また、万が一領収書を紛失してしまったり、病院側が書類の記載に慣れていなかったりすると、返金が遅れるリスクもあります。こうした煩雑な作業を避けるためにも、最初から労災指定病院を選ぶ価値は計り知れません。もし緊急を要するために、やむを得ず近くの指定外病院で応急処置を受けたとしても、安定した段階で速やかに指定病院へ転院することが推奨されます。転院手続き自体も、指定病院であれば慣れた手つきで処理してくれます。労災指定病院とは、労働者の負担を最小限に抑えるために国が用意したセーフティネットの一部であり、その恩恵を最大限に活用することが、早期の回復と社会復帰への近道となります。