溶連菌感染症は子供の病気というイメージが強いですが、大人が感染した場合には子供以上に重症化しやすく、特有の苦痛を伴うことがあります。私が三十代後半で溶連菌に罹患した際、最も困惑し、かつ苦しめられたのは、喉の激痛と共演するように現れた「舌先の痛み」でした。発熱二日目、鏡で自分の口の中を確認すると、舌の先半分が火傷をした後のように赤く腫れ上がり、表面には無数の小さな突起が鋭く立ち上がっていました。子供によく見られる「可愛いイチゴ舌」という言葉からは想像もできないほど、それは不気味で、そして何より痛かったのです。話をするだけで舌先が前歯に当たり、電気が走るような鋭い痛みが走りました。当然、食事は大きな課題となりました。まず驚いたのは、普段好んで飲んでいたスポーツドリンクが、まるで酸の塊のように舌にしみたことです。柑橘系のフレーバーや酸味料が含まれている飲料は、炎症を起こした舌の粘膜を激しく刺激しました。また、醤油や味噌といった塩気の強いものも、傷口に塩を塗るような痛みをもたらしました。そんな中で、私がたどり着いた「溶連菌期の食事の工夫」をいくつか紹介します。第一に、水分補給は「常温の麦茶」か「冷やしすぎない白湯」が最も安全でした。温度差も舌には刺激になるため、体温に近い温度がベストです。第二に、主食は冷ました豆腐や、薄味の鶏出汁で作った冷やしそうめんを、噛まずに飲み込むようにして摂りました。舌を動かすこと自体が苦行なため、咀嚼の必要がない形態が望ましいです。第三に、意外な救いとなったのが「バニラアイスクリーム」です。ただし、ナッツやフルーツが入っていない滑らかなものに限ります。冷たさが一時的に舌の熱を奪い、麻痺させてくれるような感覚があり、カロリー補給にも役立ちました。治療の抗生物質は非常に効果的で、三日もすれば痛みは劇的に引きましたが、それまでの間、この食事の工夫がなければ、脱水症状に陥っていたかもしれません。大人の溶連菌は、社会生活を完全にストップさせるほどの破壊力を持っています。特に舌の症状が強く出ると、食事や会話といった基本的な活動が制限されるため、精神的なストレスも増大します。もし大人のあなたが溶連菌と診断され、舌の痛みに悩まされているなら、我慢を美徳とせず、極限まで「刺激のない食生活」に徹してください。舌は非常に再生能力の高い組織です。薬を飲み切り、粘膜への刺激を徹底的に排除すれば、一週間後には再び美味しい食事を楽しめる日が必ず戻ってきます。その日まで、自分の体を労わり、静かに回復を待つ勇気を持ってください。