私は二十代の頃から、冬になると手足が凍るように冷たくなる典型的な「冷え性」を自認していました。周囲の友人も同じような悩みを抱えていたため、厚手の靴下を履き、カイロを多用することで凌ぐのが当たり前だと思い込んでいたのです。しかし、三十代後半に入ったある年、冷えの質が変わったことに気づきました。それまでは全身が寒いと感じていたのが、その年は足先だけが痺れるように冷たく、どれだけ温めても感覚が戻らないような違和感があったのです。さらに、階段を上るだけで動悸がし、顔のむくみがひどくなってきました。それでも私は「年齢による代謝の低下だろう」と自分を納得させていましたが、夫の強い勧めでしぶしぶ近所の内科を受診することにしました。そこで行われた血液検査の結果は、私を愕然とさせるものでした。診断名は「甲状腺機能低下症(橋本病)」。私の体の中では、エネルギー代謝を司るホルモンが極端に不足しており、そのせいで血液循環が悪化し、末端まで熱が届かなくなっていたのです。医師からは「このまま放置していたら、意識障害や心不全を招く可能性もあった」と言われ、背筋が凍る思いでした。治療として一日一錠のホルモン剤を飲み始めると、あんなに頑固だった足先の冷えが数週間で嘘のように改善し、重だるかった体も軽くなりました。それまで自分が「体質」だと思って諦めていた苦痛の多くが、実は「治る病気」の症状だったのだと痛感した出来事でした。冷え性で病院へ行くのは大げさだ、という心理的なハードルが私を何年も苦しめていたのです。もしあなたが、自分自身の冷えに対して「以前とは違う」「対策をしても全く温まらない」と感じているなら、それは気のせいではありません。身体が懸命に異常を知らせようとしているSOSなのです。病院へ行くことは、自分の体と向き合い、その声に耳を傾けるという大切な儀式です。私の体験が、今も冷えに耐え続けている誰かの背中を押し、健康を取り戻すきっかけになることを願ってやみません。
ただの冷え性と放置していたら思わぬ病気が見つかった話