私が医療ソーシャルワーカーとして病院で勤務していると、非常に切実な相談が寄せられます。「病気で体が動かないけれど、保険料を滞納して保険証がない。お金もない。どうすればいいですか」という声です。こうした状況にある方々は、強い羞恥心と不安を抱え、限界まで我慢してからボロボロの状態で来院されます。しかし、まず最初にお伝えしたいのは、日本の社会保障制度は、保険証がないからといってあなたを見捨てるようにはできていないということです。経済的な理由で保険証がない状態にある場合、私たちがまず検討するのは「無料低額診療事業」の活用です。これは、生活困窮者が経済的理由により必要な医療を受ける機会を制限されないよう、社会福祉法人などが運営する医療機関が、無料または低額で診療を行う制度です。保険証がない状態であっても、まずは診察を受け、その後の支払いや保険の再加入について相談に乗ることができます。また、国民健康保険料の滞納によって保険証が返還され、「資格証明書」という全額自己負担の証書しか持っていない場合でも、役所の福祉課や保健センターと連携することで、短期保険証の発行や、滞納金の分割納付の相談、さらには生活保護の申請といった道を探ることができます。保険証がないから病院に行ってはいけない、というのは大きな誤解です。むしろ、病気で働けないことが困窮の原因であるならば、まず体を治すことが生活再建の第一歩になります。私たちソーシャルワーカーは、医療のプロである医師や看護師と、社会のルールを作る行政との間に立ち、あなたが再び保険証を手にし、安心して暮らせるように調整するのが仕事です。「お金がない」「保険証がない」と打ち明けるのは勇気がいることですが、病院の受付で「ソーシャルワーカーと話したい」と言ってください。私たちはあなたの味方です。また、ホームレス状態にある方や、住居が不安定で保険証がない方に対しても、無料低額診療や生活保護による医療扶助など、使える制度は必ずあります。世界的に見ても、日本の医療制度は非常に手厚いものですが、その制度は「助けて」と声を上げた時に初めて動き出します。保険証がないという今の状況を、あなたの人生の終わりだと思わないでください。それは、新しい支援に繋がるためのきっかけに過ぎません。適切な医療を受け、健康を取り戻し、社会的な権利を一つずつ回復していく。そのプロセスの最初のパートナーとして、病院のソーシャルワーカーを頼ってほしいのです。あなたの命を守るために、私たちはいつでも扉を開けて待っています。
生活困窮で保険証がない人へ医療ソーシャルワーカーが送る助言