ずっと「冷え性は女の宿命」だと思って、半分諦めていました。母親も祖母も冷え性でしたから、これは遺伝的な体質であって、一生付き合っていくしかない「不便な個性」のようなものだと思っていたのです。毎年、冬が来るたびに足の指がしもやけで赤く腫れ、寝る時には湯たんぽが欠かせない毎日。そんな私が病院、それも内分泌内科を受診しようと思ったのは、あまりにも体がだるくて、仕事中に座っていることすら辛くなったからでした。正直に言うと、受付で「冷え性で来ました」と言うのは勇気がいりました。「そんなことで来たの?」と思われるのではないかと不安だったからです。でも、診察室に入った私を待っていたのは、全く予想外の真剣な眼差しでした。医師は私の手足を触り、脈を取り、これまでの生活習慣だけでなく、気分の落ち込みや便秘の有無まで細かく聞き取りました。そして提案されたのが、詳細な血液検査と甲状腺の超音波検査でした。結果として分かったのは、重度の鉄欠乏と、甲状腺ホルモンが基準値ギリギリの「潜在性機能低下症」という状態だったことです。病気と言い切れるほどではないけれど、今の私の生活を維持するには明らかに出力が足りない状態。医師は「体質という言葉で片付けるには、あまりにも体が可愛そうです。適切な栄養とホルモンのサポートがあれば、あなたの人生はもっと楽になりますよ」と言ってくれました。処方された鉄剤と、甲状腺の働きを助ける漢方薬を飲み始めて三ヶ月。私に起きた変化は、魔法のようでした。あんなに氷のようだった足先が、お風呂から上がった後もポカポカし続け、何よりも朝、布団から出るのが苦痛ではなくなったのです。鏡を見ると、くすんでいた顔色が明るくなり、ファンデーションのノリまで変わっていました。病院へ行くという選択をしたことで、私は自分の人生のハンドルをようやく自分自身で握ることができたように感じています。「体質だから」という諦めは、実は自分自身の可能性を狭めているだけだったのです。もし、冷え性のせいで何かに耐えているなら、その忍耐を勇気に変えて、一度専門医を訪ねてみてください。検査結果という客観的なデータは、あなたが自分を責める必要がないことを教えてくれますし、医学という力強いサポーターが、あなたの毎日を確実に温かく変えてくれるはずです。